ある社長

2010年8月24日 (火)

必要利益!

決算が近づくと相談がよくあるのが決算対策です。多くの場合、黒字決算の会社の節税です。

中小企業の経営者は、どういうわけか税金で払うぐらいなら外のことで使いたいといわれます。

そして無駄な出費をしたり、従業員への賞与として支払ったり、節税型の生命保険に加入したりします。

このような節税方法をとる経営者の多くが、経理・財務を良く理解していません。

まず、このような意思決定をする前に考えてほしいことがあります。それは必要利益です。

たとえば、借入の約定返済が毎年2千万円ある場合、その返済原資は通常税引後利益と減価償却費です。

減価償却費がゼロの場合、利益だけで2千万円の借入の返済を行うには、税引後利益が2千万円必要です。

2千万の返済=税引後利益2千万円

税金を引く前であれば、3.4千万円の税引前利益が必要です。

3.4千万円=2千万円/(1ー40%)

(注)実効税率が40%の場合

これに減価償却費がたとえば1千万円あれば、減価償却費は支出を伴わない費用のため必要な利益は少なくて済みます。

2千万円の返済=税引後利益1千万円+減価償却費1千万円

まずは、自社にとって必要な利益はいくらなのかをキチンと把握した上で、それを上回る利益があるのであれば、適切な節税を検討します。

しかし、必要利益ぎりぎりであれば、余分な支出をする余裕はありません。税金を払ってでも借入の返済をする必要があります。

上の例は、約定返済だけの簡単な例ですが、支払手形の支払など外に様々な要素を考慮して必要利益を計算することになります。

ここのところを押さえておかないと、いつまでも借入依存体質から抜け出すことができません(銀行のいいなりの状態が続きます)。

経営者は、是非この点を十分に理解してほしいと思います。

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2007年8月25日 (土)

内部統制(その1)

社長 「大変な目にあったよ」

花野 「一体どうしたのですか?」

社長 「実はね。従業員に売上金を横領されたんだ」

花野 「それは大変でしたね」

社長 「ホントひどい被害だよ。資金繰りにも影響がでて借入れしなきゃいけないし、仕事には穴が空くし、踏んだり蹴ったりだよ」

花野 「会社にとっては大きな損失ですね」

社長 「会社だけじゃないよ。私もこの件ではいろいろ振り回されて大変だったんだから被害者だよ」

花野 「社長が被害者ですか?」

社長 「え、そうだよ」

花野 「実は会社法では、今回のような横領ができないような仕組みを作る義務が取締役会に課せられているんですよ(第362条4項6号)」

社長 「それはどういうことなの?」

花野 「内部管理体制に不備があったために横領された場合、体制を整備しなかった社長に責任があるといわれる可能性があるということです」

社長 「それでどうなるの?」

花野 「最悪の場合、株主から訴えられる可能性がありますね」

社長 「本当にそうなの?」

花野 「ええ、そうです。だから今からでも遅くありません。管理体制を整備することをお薦めします」

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2007年5月17日 (木)

投資と消費のお話(その1)

花野 「社長、ちょっと小耳に挟んだのですが、役員報酬を上げたそうですね?」

社長 「そうだよ。だれに聞いたの?」

花野 「奥さんですよ。心配していましたよ。また、上げた分全部飲んじゃうんじゃないかって」

社長 「そんなことないよ。ようやくうちも業績が回復してきたし、チョットぐらい増やしてもバチはあたらないよね。そうでしょ?」

花野 「でも、社長まだまだ借入がたくさんありますよね。本当にいいんですか?」

社長 「そういわれると心配になるね」

花野 「ここはもう少し我慢して、投資にお金を回しませんか?」

社長 「投資というと?」

花野 「知名度もあがってきたところですし、もう少し広告を増やしてみるとか、工場の設備を新しくするとかですよ」

社長 「それなら、今後につながるね」

花野 「そうですよ。儲かったときにこそ、将来のためにお金を使いましょう。ベンツとか飲み代は、消費ですから、今、満足することができても、将来にはつながらないですから」

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2006年6月 7日 (水)

重要性と緊急性

それは昨日の朝です。まだ眠りから覚めない早朝に携帯の受信音が鳴り響きます。慌てて携帯をとるといつもの社長です。

「先生、寝てった。今電車のるところだけど」

私の方は半分寝ぼけながら

「はぁ、いつもお世話に・・・・」

すでにテンションが高い社長の方は、

「ところで、今度・・・」

と話を続けます。早朝のそれも携帯に掛かってきた電話なので、こちらとしては重大なことが起こったのかと思いました。たとえば会社の存続に係るような。

しかし、そうでもないようです。とりあえず重要性からいえば、優先順位は高いわけではありません。それに緊急性があるかというとそうでもないようです。

どうも、思いついたことをすぐに確かめたくなったようです。この社長、思いついたことをすぐに行動に起こすという傾向があります。

それはそれで、経営者として必要な資質ですが、相手のあることについては、先方にも配慮しなければなりません。

緊急な連絡というものもあります。しかし、それは極まれです。普通は重要性緊急性から判断してことを進めます。

仕事柄、私もいつも顧問先のことを考えていますが、さすがに寝ている時までは考えることができません。

ということで、緊急な電話は、重要性と緊急性を良く考えた上でしていただければと思います(特に就寝時間中は)。

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2005年10月 7日 (金)

返済は経費じゃないですよ!

「花野さん、借入金の返済は、どこの経費だっけ?」

「社長、何してんですか?」

「ちょっと、来年度の事業計画を作っているとこなんだよ。それで聞いたの。」

「そうですか、前にも言ったように、借入金の返済は経費じゃないですよ。」

「え、そうだっけ。でもお金が出っていくよ。」

「借りたお金を返しただけですよ。」

「イマイチよくわからんな」

「それじゃ、もし社長が銀行だったら、企業に貸した金が返ってきたとき売上に上げますか?売上に上げるのは、返済されたお金じゃなくて利息だけですよね。」

「それはわかる。」

「貸した方が、売上に上げないものを、借りた方が経費にするのっておかしいですよね。」

「いわれてみれば、そうな気がするよ。それじゃ借入金の返済はどこに書くの。」

「資金繰り表とか、キャッシュ・フロー計算書とかいうのがあるでしょう。そこにでってきますよ。貸借対照表とか損益計算書じゃなくって。」

「損益計算書にはでってこないのか。」

「そうです。だから借入金は、利益と減価償却から返済していかなくっちゃいけないんです。」

「そうか、借入金の返済が経費じゃないのはわかった。」

「よかった。」

「ところで、減価償却ってなんだっけ。」

「・・・・・」

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2005年6月 9日 (木)

入口と出口

「社長、このDMダメですよ。」

「花野さん、何でダメなのよ。」

「だって、社長このDM出口がないじゃないですか!」

「出口って何よ」

「このDMって、この前の展示会で名刺交換した人へ送るんですよね。」

「そうだよ、お礼も兼ねて、うちの製品の良いところアピールしようと思うんだよ。」

「製品をアピールすることは、すごっくいいことだと思うんですけど、良い製品と思ってもらうだけじゃなくって、買ってもらいたいですよね。」

「そりゃ、そうだよ。でもうちの製品は仕様とかいろいろ難しいから、連絡先を載せてあるから連絡があった人には製品カタログを送っているんだよ。」

「それでこれまでに、先方から連絡ありましたか?」

「いや、これまでは・・・・・・」

「そうでしょ。それなら最初からDMの最後に送り先を書いてもらって、『カタログ送れ』ってFAXしてもらうようにしとけば良いじゃないですか。」

「それはそうだな。でもFAXしてくるかな。」

「もともと、先方から連絡を待っているんだから、先方がFAXしやすいようにDMに『至急、資料を送れ』って書いってあげれば良いんじゃないですか。」

「それじゃ、やってみるか。」

「そうですよ。FAXを送ったところをフォローすればいいんですから。資料送れって事は、ニーズがあるって事ですから。」

「それから、もう一つ。」

「まだ、あるの?」

「ありますよ。FAXを送ってもらうという出口はできましたけど、入口をちゃんと作りましょうよ。」

「入口って何よ。」

「タイトルですよ。今のタイトルは展示会のお礼ですよね。それよりどうせ送るなら、製品アピールをしましょよ。」

「アピールってどうするのよ。」

「たとえば、この前社長がうちの製品の耐用年数がこれまでの製品の5倍になたっていってましたよね。それなら『従来より5倍長持ち(当社比)、大幅なコストダウンを実現!』なんていうのはどうですか。」

「確かに、うちの製品のアピールしたいところではあるよ。でも最初のところでそこまで書くの。」

「最初のところに書かないでどうすんですか?皆さん忙しいんですよ。最初のところで読む必要があるどうか判断してもらって、興味がある人だけ読んでもらえば良いじゃないですか。そうすれば、お互い時間の無駄がなくていいんですよ。」

「へぇ、言われてみればそうかもしれないね。これが花野さんのいう入口と出口か。それじゃ一回やってみよう。」

「それじゃ、さっそくこのDMつくり直しましょうね。」

END

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